機能性表示食品の作用機序について知っておくべきポイント

サプリ17

機能性表示食品の届出をするためには、機能性関与成分についての情報をかなり集めなければなりません。科学的根拠によって表示する内容が正しいことを示さなければならず、安全性も確保する必要があるからです。この情報収集や研究の際に問題になるのが作用機序です。

この記事では機能性表示食品の作用機序の情報について、知っておくべきポイントを解説します。

合わせて読む:機能性表示食品の届出に関する60日のルールとは

機能性表示食品では機能性関与成分の作用機序解明が必要か

まず前提として理解する必要があるのが、機能性表示食品は表示する内容についての科学的根拠をまとめてから届出をしなければならないことです。表示したい内容についての十分な根拠がない場合には届出をしても受理されず、再提出を求められることになります。

その科学的根拠としては、自社研究の内容や公表されている論文の情報、セミナーや学会などで発表された内容などを使用することが可能です。このような情報源を駆使し、機能性関与成分が確かにその表示内容を満たす作用があると考えられることが重要になります。

このようにして考えると、機能性表示食品には機能性関与成分が含まれていて、摂取した人にとって何らかの作用があればそれで表示できるのではないかと思うでしょう。例えば、機能性関与成分を摂取し続けた人がもともとは眠れなくて困っていたけれど、眠りの悩みがなくなったというのであれば睡眠の悩みに対策できる作用があるという意味を持たせた機能性表示ができると考えられるかもしれません。

そのデータが統計的に正しいと言えるほどの母集団に対して摂取してもらった結果だとすれば信憑性もあります。しかし、実際にはどうしてそのような結果になったのかがわからないとデータとしての信用度が低くなります。

プラセボ効果かもしれないという懸念が持たれるからです。そのため、機能性関与成分の作用機序の解明は基本的には必要になります。

ただ、どの程度まで行う必要があるかはよく考えてみた方が良いでしょう。完璧な論理と科学的根拠によって作用機序が解明されることは必ずしも重要ではありません。

合わせて読む:機能性表示食品の文献は読んでから買うべきか

機能性関与成分の安全性を示すのに重要

機能性関与成分の作用機序は安全性を示すのに重要ですから、解明する必要があります。作用機序がわかっていれば、どのようにして体に作用するのかが考察可能です。その作用が他にどんな影響を及ぼし得るかを考えてみると、リスクとして何が候補になるかを導き出せるでしょう。

それに基づいて研究や調査などを実施すれば、安全性を証明できます。食経験がない機能性関与成分を使用するときには特に慎重になる必要がある部分で、アレルギーだけでなく様々な不調をもたらしてしまうリスクが常にあります。

機能性関与成分の安全性を示すためには作用機序を示し、そこから考えられるリスクを全て排除するのが合理的な方法です。販売する企業としても安心感が得られるでしょう。

機能性関与成分の表示内容の根拠として強い

機能性関与成分は表示内容についての信憑性を示す根拠として強い意味を持つからこそ解明する必要があります。機能性関与成分の作用機序がわからないけれど、眠りの悩みが改善すると言われても消費者には信用してもらえない可能性があるでしょう。

しかし、このようなメカニズムで脳神経系に作用するから眠りの問題が解決の方向に向かうという理論的な説明があると、なるほどと納得して手に取ってくれる可能性が高まります。そのメカニズムで健康になれるのなら試したいと思う人も多いでしょう。

逆に、同じような作用機序の成分を摂取してきた人は自分に合うか合わないかも判断できると考えられます。科学的根拠として強いことから、可能な限り機能性関与成分の作用機序は解明した方が良いのです。ただ、根拠として用いるだけであれば、作用機序の解明が必須ではないこともわかるでしょう。

摂取した結果として多くの人が納得する結果を実感したというのであれば、それだけでも消費者からは期待される食品になります。ただ、科学的根拠が薄いと消費者庁に届出を受理してもらえません。作用機序不明と記載されていたらすぐに指摘を受けてしまうでしょう。

およそのメカニズムはわかっていないと信用できないと思われてしまいやすいので、解明の努力は少なくとも必要になります。

作用機序は証明が難しくても考察は必要

サプリ22

機能性関与成分の解明をして証明までできれば、安全性を示すのにも機能性表示の根拠として用いるのにも十分でしょう。ただ、そのためには莫大な費用と期間がかかることは否めません。医薬品の承認を受けるためには、作用機序の解明が必須となっているのが承認を受けるのに何年も必要となってしまう原因の一つです。

機能性表示食品として届出をするためだけに研究へのリソースを割けない現場も多いでしょう。そのため、機能性表示食品の届出を確認するプロセスでは機能性関与成分の作用機序の証明を必須とはしていないと考えられています。

重要なのは作用機序について考察がなされていて、発表されている研究結果が論理的に説明できる内容になっていることです。そして、その考察に基づくと表示したいと考えている機能性が説明できるのであれば、届出を受理してくれるのが一般的です。

作用機序は必要があれば表示も可能

サプリ23

機能性表示食品の売れ行きを良くするためにも、消費者の理解を促すためにも、機能性関与成分の作用機序もパッケージや広告などに表示したいと思うこともあるでしょう。

届出のときに表示する機能性について説明するために、必要な場合には作用機序についても表示が可能です。ただし、消費者がその説明によって理解が深まり、購入や摂取の判断をするのに役に立つ場合にのみ認められます。

そのため、表示する際には工夫が必要で、消費者目線でプラスになる情報を盛り込み、見て簡単に理解できるようにまとめるのが原則です。

科学的な知識があまりない人でもわかりやすいようにまとめるには図表を用いるのがわかりやすいので、うまく活用して消費者にとって魅力があるパッケージにしましょう。

機能性関与成分の作用機序は解明の努力をしよう

機能性関与成分の作用機序の解明は必須ではありませんが、少なくとも考察はされている必要があると考えた方が良いでしょう。作用機序の解明の努力をして、消費者にもわかりやすく説明できるようにするのが大切です。機能性表示食品の表示内容を説明するために作用機序を示す必要がある場合にはパッケージにも記載できるので、うまく工夫して売れるパッケージに仕上げましょう。